風吹く日

最近めっきり涼しくなった。鈴虫が鳴く。タオルケットから掛け布団になった。ご飯は焼き魚が食べたくなる。そんな秋の夜。

別れがあるし、ひとりで考える時間が長くなるし、秋風は身体の中も通り抜けるようで、それは心に穴が空いているような感じがして、勝手に淋しくなる。

しかし、最近気づいたことがある。淋しさは何も悪いことじゃない。淋しさも味わえる。苦いものを美味しいと感じるように、ビールの苦さがいつからか旨味になるように、淋しさも旨味になる。そんな、今年の秋の夜。

逃げてばかりいるこの頃。今日もまた逃げてしまった。こんな時はいつも気候のせいにしてしまう。暑いから、寒いから、秋風吹くから。それでいて、周りを見渡してみんなが物事に向き合っていると自分はと嫌悪感をもつ。違うでしょう、みんなも頑張ってるから頑張ろうね。

どんな日でも、風吹く日。それはきっと追い風です。