カツとコロッケ

ドライブ・マイカ

ひとを信じるとは、どういうことか、を考えさせられた。ひとの性格は両儀的である。一見対立しているように見えるA面・B面は同時に存在し得る。愛するひとのA面を真実だと思いこんでいたひとが、そのB面を見てしまったとき、そのひとはそれを受け取ることができるだろうか。流さず、B面に対してもA面と同じように向き合うことができるだろうか。真実などといったものは、ある地点からの見方でしかなく、そのひとの思い込みでしかない。劇中でB面を受け入れることから逃げたふたりはそのことで愛するひとを失い、それを「殺した」といい、もっと自分が強ければ、と嘆く。

もっと自分が強ければ、受け入れられた。向かい合えた。その強さとは、どうすれば獲得できるのだろう。どうしたところからくるのだろう。「A面を見た時、B面を想像する」のでは、そもそもの信じることすらできなくなってしまっている気がする。構えるのではなく、柔軟に。

その日は、燻製器でベーコンをつくるという大挑戦をするつもりだったが、何時間もかかると知り断念。がっつり気分だったので、代わりにコロッケとカツ。真っ茶色の揚げ物ばかりが並んだ。何かに挑む前のような強くなれそうなご飯だった。