土が湿った匂いの入り混じった涼しい風が吹いている。あんなにもいた蝉の声の代わりになんの虫かわからない虫が静かに鳴いている。もう秋が来る。何もできてない夏が終わる。

無力だ。

そう常々感じる。周りはどんどん走り抜けているのに、取り残されている。周りとの繋がりがない。いつからこんな風になってしまったんだろう。私が中心にいるような人物ではないから。人徳がないから。自分で動いてないから。ただその結果だろう。

もうすぐ先伸ばしていた社会に出る。自分の無力で無知を既に痛感している。要領が悪いのは昔から分かりきっていることだ。人の2倍やらねば、いや3倍やらねば追いつかない。常に向かい風が吹いている。しょうがない。食いしばって手を動かすより他はない。

言い訳をせず、さらっとやっているかのように見える、そんなかっこいい大人になりたい。歩みがどんなに遅くても、自分のことを見守っていけるように成長したい。

夕暮れの秋風がさらさらとやさしく撫でてくれたように感じた。